2024-11-28
障子紙は和のインテリアとして欠かせないアイテムです。サイズや選び方により、部屋の雰囲気や使い勝手が変わります。「一枚貼り」「美濃判」「半紙判」といったサイズがあり、特徴を理解して選ぶことで、お部屋に合う障子紙を見つけられるでしょう。
この記事では、障子紙のサイズごとの特徴や選び方について詳しくご紹介します。最適な障子紙を選ぶためのポイントを知り、理想的な空間づくりの参考にしてください。
障子紙を選ぶ際、部屋の雰囲気や障子の構造だけでなく、適切なサイズ選びが重要です。障子には、一般的な「一枚貼り」「美濃判」「半紙判」という3つのサイズがあり、それぞれの特徴や適用シーンが異なります。
この章では、これらのサイズについて具体的な寸法や用途、最適な選び方を解説しますので、ご参考にしてください。正しいサイズの障子紙を選ぶことで、部屋の見た目や使い勝手が大きく向上するでしょう。
「一枚貼り」は、幅94cm の標準的な障子枠に合う障子紙で、1枚の障子に対して1枚で貼り付けられるため、つなぎ目が出ず、見た目がすっきりとした仕上がりです。障子リフォームにおいて最も多く利用されるサイズで、ほとんどの一般住宅の障子枠に対応します。
幅69cmや135cm といったサイズバリエーションもあり、異なる幅の障子枠にも対応できる柔軟性が魅力です。一枚貼りは、つなぎ目がなく、簡単に貼り替えられるため、初心者や大きめの障子を持つ家庭にとって理想的な選択肢といえます。
見た目をすっきりと保ちながら、使い勝手もよく、費用対効果も高いのが特徴です。
「美濃判」は、一段ずつ貼り付けるタイプの障子紙で、幅が約28cm と一枚貼りよりも狭いサイズです。障子の組子1マス分ずつ横方向に貼り付けていくため、段ごとに貼り合わせる必要があります。
段ごとに貼っていくため、上級者向けの貼り方が求められますが、自宅の障子枠にぴったり合ったサイズにカットして貼ることが可能です。ただし、一般のホームセンターや専門店でもサイズが異なるものが流通しているため、購入時にはお手持ちの障子枠の寸法を確認し、適切な幅の障子紙を選びましょう。
「半紙判」は美濃判よりもやや小さいサイズで、幅は約25cm とさらに狭く、障子の組子1マス分を横方向に貼り付けるのに適した障子紙です。長さは約22.5mで、幅94cmの腰板付き6段の障子4枚分 に対応する量が、ロール状で販売されています。組子のサイズや形状に応じて細かくカットしやすく、とくに狭い幅の格子が多い障子に最適です。
半紙判も美濃判と同様、段ごとに貼り合わせていくため、手間はかかりますが、より細かなカスタマイズができます。地域により、幅が24~26cm程度 と若干の違いが見られるため、購入時には組子サイズの事前確認をおこないましょう。
障子紙を張り替える際には、正確にサイズを測ることが最も重要です。まず、障子枠の内側の寸法を測定し、縦と横のそれぞれの内寸を計ります。障子枠自体に厚みがあるため、枠の幅は測定せず、枠内の実寸を計測するようにしましょう。
内寸がわかったら、さらに「のりしろ」分を追加します。一般的に、縦横それぞれに約2cmずつの余白 があると、のりでしっかり固定でき、仕上がりもきれいです。とくに障子紙を専門店に依頼する場合には、この「のりしろ」を含めた寸法をお伝えください。
この方法で正しいサイズを計測すれば、障子紙の張り替え作業がスムーズに進み、仕上がりも満足のいくものとなるでしょう。
障子紙にはさまざまな種類があり、使われる素材や製法によって特徴や価格が異なります。それぞれの障子紙には特徴があるため、お部屋の用途や張り替えの頻度、予算に応じて適切なものを選ぶことが大切です。
この章では、代表的な「手すき和紙」「機械すき和紙」「プラスチック障子紙」の3種類について解説します。
手すき和紙は、職人が一枚一枚手作業で作る伝統的な和紙です。手すき和紙には天然素材特有の温かみがあり、やわらかな光を取り込むため、和室に合った落ち着いた空間を演出できます。
原料には楮(こうぞ)や三椏(みつまた)雁皮(がんぴ) などの天然植物が使われており、高い調湿効果や通気性が特徴です。手すき和紙は大量生産できないため、希少性が高く、張り替え費用もかかります。
価格はほかの障子紙と比べて高めで、一般的に一枚あたり約2,000円から約10,000円 ほどです。楮の含有率が40%以上 の手すき和紙は耐久性が高く、高品質とされています。
機械すき和紙は、機械で大量生産される和紙で、手すき和紙に比べて比較的安価です。機械すき和紙には「パルプ障子紙」と「レーヨン障子紙」の2種類があります。
パルプ障子紙はパルプを80%以上含む和紙 で、1枚あたり約500円から約2,000円程度 と、最も安価です。ただし、パルプは紫外線や湿気に弱く、劣化が早く進みます。
レーヨン障子紙はレーヨンを40%以上 含んでおり、手すき和紙のような光沢があり、耐久性もパルプ障子紙に比べて優れています。パルプ障子紙よりも価格は高めですが、1枚あたり約1,000円から約2,000円 です。
プラスチック障子紙は、和紙をプラスチックの薄いシートで挟むことで耐久性を高めた素材です。水拭きが可能なため、汚れが目立つご家庭や、小さなお子様やペットのいるご家庭におすすめできます。
外観は和紙の風合いを保ちながら、破れにくく、お手入れも簡単なことが特長です。紫外線の影響を受けにくく、日差しが強い場所でも長持ちします。
プラスチック障子紙は1枚あたり約1,000円から約5,000円程度 です。価格はやや高めですが、破れにくさやお手入れのしやすさを考えると、張り替えの手間が軽減され、長期的なコストパフォーマンスは高いといえます。
また、アイロンや両面テープでも簡単に張れるタイプが多く、自分で張り替える場合も可能です。プラスチック障子紙は和紙に比べると通気性がやや劣りますが、冷暖房の効率を高める効果も期待できます。
この章では代表的な障子枠の種類と、その一般的なサイズを一覧表にしました。障子枠を検討する際のご参考にしてください。
障子枠には、下表の種類があります。
種類 | 特徴 | 適した空間や利用シーン |
荒組障子 | 組子(障子の細い木材)が少なく、桟が大きく荒く組まれたシンプルなデザイン。 | モダンな空間、通気性が高いデザインが求められる場所 |
横繁障子 | 横方向に細かく組子が配置され、関東地方で使用頻度が高い。 | 和の美を際立たせたい空間や視覚的に広く見せたい場所 |
縦繁障子 | 縦方向に細かく組子が配置され、関西地方で多く見られる。 | 縦長の窓や天井が高い部屋に適したデザイン |
雪見障子 | 下部にガラスがはめ込まれ、閉めたままでも景色を楽しめる構造。 | 庭付きの和室、風景が楽しめる場所に最適 |
腰付障子 | 下部が板張りで、腰板により耐久性が高く、破れにくい。 | 和風住宅の外部との仕切り、頻繁に出入りする場所や傷みやすい場所 |
猫間障子 | ガラスや小窓付きでペットが出入りしやすい設計。 日光を取り入れながら開閉できる柔軟性がある。 |
ペットがいる家庭や通気性が必要な部屋の仕切り |
障子枠のサイズにはいくつかの規格があり、部屋の広さや使用する場所に応じて適したものを選びます。一般的なサイズは次の通りです。
サイズ | 幅 | 高さ | 特徴・用途 |
普通サイズ | 約90cm | 約180cm | 最も標準的なサイズで多くの和室に合う大きさ。 幅90cmの障子2枚で1間(約180cm)幅となり、一般的な和室に適している。 |
天袋サイズ | 約90cm | 約65cm | やや小さめのサイズで、天井付近の設置に適している。部屋の上部にあるため、部屋全体を明るくできる。 |
幅広サイズ | 約135cm | 約210cm | 横幅が広く開放感を感じさせるサイズ。 広い部屋やリビングに用いることで視覚的な広がりが生まれる。 開放的な空間づくりに適している。 |
障子枠のサイズに応じて、適した障子紙のサイズや組子のデザインも異なります。設置する場所の大きさに合わせて、調湿性や通気性の観点からも最適な障子枠を選ぶと、より快適な空間づくりが可能です。
障子紙を選ぶ際には、見た目だけでなく、障子紙の機能や特性にも目を向けることが重要です。選び方を間違えると、せっかくの和室の雰囲気を損ねたり、頻繁な張り替えが必要になったりします。
障子紙を理想的に選ぶためには、下記の各ポイントを総合的に判断することが大切です。
障子紙は、障子特有のやわらかい光を通して室内に自然光を取り入れる役割があります。明るさは、選ぶ障子紙の透光性がポイントです。
透光性の高い障子紙を選ぶと、直射日光を和らげつつも、部屋全体が明るくなります。化学繊維を使った障子紙は光を反射しやすく、白さが際立つのが特徴です。
落ち着いた雰囲気を重視したいなら、透過性が控えめな手すき和紙などの伝統的な障子紙が合うでしょう。光をやわらかく拡散させ、穏やかな空間を作るのに役立ちます。
障子紙により光の通り方が異なるため、部屋の使い方や好みに応じてお選びください。
障子紙のサイズも、選ぶうえでの大切な要素です。障子枠の内寸に合わせたサイズを選ぶことで、張り替え作業がスムーズに行えます。
枠の内寸にプラスして、のりしろ分として2~3cmをプラスして準備しましょう。障子紙はやや大きめに準備しておくと、貼り付けの際に調整がしやすくなります。
また、障子紙には「一枚貼り」「美濃判」「半紙判」など、使い方やサイズによって異なる種類が存在します。障子枠の大きさや枚数に合ったものを選ぶと、効率よく貼り付けができ、余分なカットや調整を減らすことが可能です。
障子紙の貼り方も、選ぶ際に押さえたいポイントのひとつです。障子紙の貼り方には、のり貼り、アイロン貼り、両面テープ貼りの3種類があり、それぞれ下表の特徴があります。
貼り方の種類 | 特徴 | メリット | デメリット |
のり貼り | 伝統的な貼り方で、仕上がりが美しく、丈夫 | 仕上がりが美しく、耐久性が高い | のりの均一な塗布が難しく、初心者には手間がかかる |
アイロン貼り | アイロンを使用して簡単に接着でき、均一に貼りやすいため、初心者にも扱いやすい | 簡単で均一に貼りやすく、初心者向け | アイロンの熱が必要なため、慣れが必要な場合がある |
両面テープ貼り | のりやアイロンを使わずに簡単に貼れるため、張り替えがしやすい | 貼り替えが手軽で、初心者や頻繁な張り替えに適している | 剥がれやすい場合があり、頻繁な張り替えが前提になる場合もある |
張り替えの手軽さを重視する場合、アイロン貼りや両面テープ貼りの障子紙を検討するのがよいでしょう。
障子紙の破れやすさは、とくに小さな子どもやペットがいる家庭では重要なポイントです。
破れにくい障子紙として、プラスチックを挟み込んだタイプや、強度のある和紙が使用されている「強化紙 」タイプなどがあります。プラスチック障子紙は、和紙の質感を残しながらも破れにくいため、耐久性を重視する場合におすすめです。
ただし、耐久性が高いと通気性や質感が、やや失われる場合があります。部屋の用途や頻繁なメンテナンスが難しい場合などを考慮し、破れにくさとそのほかの特性のバランスを取って選ぶとよいでしょう。
障子紙の通気性は、湿度が高い日本の気候において大きなメリットです。通気性が高い障子紙は、障子の内側と外側の空気を適度に入れ替えるため、湿気や結露の発生を抑える効果があります。調湿作用があるとされ、通気性の高さで定評があるのが、手すき和紙です。
プラスチック障子紙などの高耐久タイプは通気性が低く、湿気を通しにくい特性があります。立地や部屋の環境に応じて、適切な通気性を選ぶことが重要です。和室特有の快適な空気感を重視する場合は、通気性のある素材を優先するとよいでしょう。
冷暖房の効率にも影響を与えるのが、障子紙の断熱性です。断熱効果のある障子紙を選ぶと、室内の温度を保ちやすくなり、冷暖房の効率が上がります。一般的な障子紙よりも密閉性が高く、断熱性に優れているのがプラスチック障子紙です。
ただし、断熱性が高いと通気性が損なわれます。部屋の用途に応じてバランスを考えることが大切です。寒暖差が大きい部屋や外気に面する壁際の障子に使用すると、より効果を感じやすくなるでしょう。
遮光性のある障子紙は、強い日差しや外からの視線を遮ることが可能です。遮光性の高い障子紙には、紫外線カット機能がついているものもあり、室内の日焼けや家具の変色を防ぐ効果があります。南向きで日差しが強い部屋や、外からの視線が気になる場合に適しているのが、遮光性のある障子紙です。
逆に、日差しを和らげる程度に光を取り入れたい場合は、遮光性が控えめな障子紙を選ぶとよいでしょう。部屋の配置や目的に応じて、適切な遮光性を持つ障子紙を検討することが大切です。
ゆたか畳は、千葉県と東京23区を中心に、豊富な障子紙サイズや種類を提供し、適切な選び方から施工までトータルサポートを行っている専門業者です。自社工場での加工と丁寧な現地対応により、希望に応じた高品質な張り替えを実現します。
破れにくいプラスチック障子紙や調湿機能のある和紙など、ライフスタイルやご予算に合わせた選択肢が豊富です。障子のサイズや種類でお悩みの方は、ぜひ一度、ゆたか畳に相談してみましょう。