2024-11-28
日本家屋を象徴する存在と聞いて、畳 を思い浮かべる方は少なくないでしょう。畳は湿気を吸収したり、放出したりする機能を有しており、四季によって湿度が変化しやすい日本の気候に適した敷物です。
そんな畳の天敵として、カビの存在が挙げられます。しかし、畳でカビが増殖したとき、どのような手順で手入れをすればよいか把握している方は、決して多くはないでしょう。
そこで、本記事では畳でカビが増殖する原因をはじめ、畳のカビの落とし方について解説します。畳の手入れをするにあたって押さえておきたいポイントもまとめて取り上げるため、ぜひ最後までご覧ください。
畳には、カビが増殖しやすい条件がそろっており、その条件を満たさないようにすればカビの増殖を抑えることが可能です。以下では、畳でカビが増殖する主な原因について解説します。
そもそもカビは温度と湿度、空気、そして養分の4つの条件がそろったときに爆発的に増殖します。温度は20度〜30度 の状態がもっともカビが増殖しやすく、梅雨から夏場にかけてカビが増えるのはこのためです。
湿度は、60% を超えたあたりからカビが活発な活動をはじめます。カビは湿度が高いほど増殖のスピードが早くなり、湿度が70%の状態が続くと数か月で、80%の状態が続くと数週間 でカビが増殖し、手がつけられなくなる可能性が高いです。
カビの増殖を抑えたい場合は、湿度を60%以下の状態 をキープしましょう。空気とは酸素のことで、カビも生物のため酸素が必要不可欠です。酸素がない場所では、さしものカビも増殖できません。
カビの養分となるのは汚れ全般で、とくに垢や皮脂、フケなどの人間の分泌物が大好物です。手入れを怠るとカビが増殖する条件がそろいやすいため、カビ対策として定期的に手入れを行うようにしましょう。
畳に使用されているい草の性質も、カビの増殖に関係しています。い草には高い吸湿能力、つまり空気中の水蒸気を吸収する性質が備わっており、余分な湿気を吸い取り屋内を快適な湿度に保つことが可能です。
しかし、梅雨をはじめ湿度の高い状態が続くと、い草はその分の湿気も吸収して飽和状態になり、カビが増殖しやすい環境が整ってしまいます。
ちなみに、い草は新しいほど吸湿能力が高いため、古い畳よりおろしたての畳の方がカビが増殖しやすいです。畳を取り替えたばかりの期間は、新しい畳でカビが増殖しないように細心の注意を払わなければなりません。
畳に生えるカビは1種類ではなく、種類によって特徴も異なります。畳に生える主なカビの種類、そしてそれぞれのカビが与える影響は、以下のとおりです。
青カビは、初期段階の軽度なカビです。青緑色の外観をしており、食品や壁、寝具の裏側などで見られます。青カビの胞子は常に空中を漂っているため、適した環境があると爆発的に増殖するのが特徴です。
畳に青カビが増殖すると、そこから住宅全体に広がり、建物の構造と建材の劣化につながります。また、呼吸器系のトラブルやアレルギー反応を引き起こす存在としても知られています。
とくに免疫力が低下している高齢者や妊婦、子どもなどは症状が重症化しやすいため、注意が必要です。
白カビは、青カビの仲間です。綿のような見た目をしていますが、無色透明で目に見えにくいため、見逃してしまうことも少なくありません。青カビと同じく人体に悪影響を与える存在として知られており、アレルギー症状、呼吸器疾患、アスペルギルス症などの健康被害が報告されています。
根が浅いため、ほかのカビと比較すると取り除くのは容易です。ただし、その分飛散しやすく、不用意に叩いてしまうと空気中に飛び散り各所で増殖する可能性があります。
青カビや白カビよりも重度で取り除きにくいのが、黒カビです。エアコン内部やお風呂場など、湿度が高く、換気が難しい場所で頻繁に見られます。見た目は黒、または緑がかった黒色をしているのが特徴ですが、その外観から識別が難しく、専門的な知識と検査が必要です。
黒カビは、有害な代謝物質であるマイコトキシンを産生することで知られており、呼吸器疾患やアレルギー反応の原因になるほか、頭痛や倦怠感、めまいなどの症状も引き起こします。
畳に生えたカビは、適切な道具を用意して手順を守れば、自力でもキレイに取り除けます。カビ落としに必要な道具、そしてカビの種類別の落とし方は、以下のとおりです。
畳のカビを落とす際に必要な道具は、以下のとおりです。
マスク | カビの胞子や残骸を吸い込まないための道具です。 |
ゴム手袋 | 掃除の際に使用する各種薬品で手が荒れないように、またカビが直接皮膚に接するのを防ぐための道具です。使い捨てのビニール手袋でも代用できます。 |
歯ブラシ | 畳のすき間に生えたカビを取り除くための道具です。使い古しの歯ブラシでも問題ありません。 |
雑巾 | 畳の乾拭きをする際に使用する道具です。 |
重曹 | 頑固な黒カビの対処をするための道具です。カビ特有の臭いに対する効果も期待できます。 |
お酢 | 軽度の青カビ、白カビの対処をするための道具です。畳の変色を防ぐためにも、希釈したものを用意してください。 |
エタノール | 軽度の青カビ、白カビの対処をするための道具です。揮発性が高いため、畳に直接吹きかけても湿気があまり残りません。 |
カビの除去は、専用の洗剤がなくても身近な道具だけで十分可能です。畳へのダメージを最小限に抑えられ、かつ子どもやペットへの影響もほとんどありません。
青カビと白カビは、カビのなかでも比較的対処が簡単です。以下は、基本的な青カビと白カビの落とし方の手順になります。
畳の手入れをする際は、目に逆らわないようにしてください。青カビや白カビであれば、エタノール、またはお酢を吹きかけ放置することで対処可能です。
ただし、長時間放置すると変色したり、畳に臭いが残ったりするため、放置時間には注意しましょう。
黒カビは青カビや白カビと比較すると、対処の難易度が高いです。以下は、基本的な黒カビの落とし方の手順になります。
頑固な黒カビはエタノールだけで対処できないため、重曹も一緒に使用してください。ただし、重症には漂白効果があります。畳を変色させないためにも、重曹は黒カビにピンポイントにふりかけましょう。
また、黒カビが取り除けないからといって、力を込めて歯ブラシを使用すると畳を痛めてしまうため、優しくこする程度にとどめてください。
畳のカビを落とす際は、さまざまな注意点があります。以下では、カビを落とすときにやるべきこと、避けなければならないことについて解説するため、順番にチェックしていきましょう。
畳の手入れをするのは、天気がよい日にしましょう。畳のカビを取り除いても、そのまま放置していると再びカビが増殖します。そのため、手入れしたあとの畳は日陰で乾燥させる必要があるのですが、天気が悪いと畳を十分乾かせません。
また、畳のカビを落とすとき、空気中にカビの胞子や残骸が舞うため、換気が必要不可欠です。天気が悪いと換気が上手くいかないだけでなく、湿気が屋内にこもってしまい、カビが増殖しかねません。
畳の手入れをする際は、水拭きをしないようにしてください。床掃除の際に水拭きをする方は多いですが、畳の手入れにおいて水気は禁物です。
畳に使用されているい草は水を吸収する性質があり、水拭きをすると水分を溜め込んでしまい、カビが増殖しやすい環境が整ってしまいます。拭き掃除をする場合は、基本的に乾拭きにとどめておきましょう。
どうしても畳の頑固な汚れを落とすために水拭きしたいときは、硬く絞った雑巾で水拭きをしてから、水分が残らないようにしっかり乾拭きしましょう。
畳のカビを手入れする際は、掃除機でカビを吸い込まないようにしましょう。掃除機は掃除を効率的に進める心強い存在ですが、カビ取りの相棒としてはあまりおすすめできません。
掃除機でカビを吸い込むと、カビの残骸や胞子が排気口から排出され、家中にばら撒かれてしまうためです。結果、カビの被害が畳のみならず、家の壁や柱、家具などにまで広がる可能性も否定できません。
カビの残骸を処理するときは、多少不便かもしれませんがほうきやブラシなどを使用しましょう。その際は、部屋にカビの残骸や胞子が飛散しないように、静かに作業してください。
カビの対処をする際は、カビを叩かないようにしましょう。叩いてもカビは取り除けませんし、逆にカビが畳の奥まで侵入してしまい、取り除けなくなります。
また、叩くと胞子が舞い上がり、屋内にカビが広がりかねません。畳のカビは、乾いた雑巾で優しく取り除きましょう。
畳の手入れをする場合は、乾拭きのみで終わらせないようにしましょう。水拭きも畳の掃除において避けるべきですが、乾拭きだけでは畳の奥まで入り込んだカビの対処はできません。
それどころか、畳の奥までカビが入り込んでしまったり、い草が傷んでしまったりする可能性もあります。
以上、畳のカビの対処方法、そして注意点を中心に取り上げてきました。畳にはカビが増殖しやすい条件がそろっており、手入れを怠るとすぐにカビだらけになる可能性が高いです。
しかし、適切な対処をすれば、畳のカビを取り除き、キレイな状態を保てます。ただし、手の施しようがない状態になっている畳は、張り替えを検討しましょう。
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