2022-06-17
畳は、古来より日本家屋に使われてきた床材で、調湿効果や、リラックス効果といった自然素材ならではの魅力があります。そのため、洋室中心の間取りになってきた現在も、畳の部屋が1部屋欲しいという方は多いです。
この記事では、畳の魅力や手入れの仕方、張替え費用について解説しています。新築物件に畳の部屋を作りたい方や、畳の張替え時期に悩んでいる方は、ぜひ参考にしてください。
畳は、畳床(たたみどこ)という畳の芯の部分に、い草を編んで作った天然の床材です。
クッション性が高く、肌ざわりに優れているため、そのまま寝転んで過ごせます。フローリングよりコストはかかるものの、畳にはかけたお金に見合った価値があります。
・リラックス効果
・調湿効果
・断熱効果
・クッション性が高い
・防音性が高い
・防振性が高い
・適切なメンテナンスで長持ちする
・抗菌作用がある
畳は天然素材のい草で作られており、フィトンチッドという芳香成分がリラックス効果をもたらします。夏はい草が湿度を吸収して快適に、冬は含んだ水分を放出して湿度を高めるといった調湿効果を有しており、フローリングにはない、畳特有のメリットです。
フローリングと比べて畳は厚みがあり、空気を含んでいるため、クッション性・防音性・防振性に優れています。また、北九州私立大学の研究によって、い草には天然由来の抗菌作用があり、シックハウス症候群を引き起こすホルムアルデヒドや水虫、足の臭いの原因となるバクテリア類の繁殖を防ぐことがわかりました。
大人の方が寝転ぶのはもちろん、子どものハイハイや昼寝、室内遊びにも最適な床材です。
・メンテナンスが難しい
・日焼けによる退色
・湿度によってはカビが発生する
・フローリングからの張替え作業は工事が必要
表替え、裏返しといった畳のメンテナンスは、自分で行うのは難しく、専門業者に依頼しなければなりません。また、畳は天然素材であるがゆえに、放置するとカビや虫の発生といったデメリットがあります。一定の抗菌作用はありますが、カビには弱いのです。食べこぼしやホコリを掃除する、布団を敷きっぱなしにせず、風通しを良くするといった対策で、カビと虫の発生を防げるので覚えておきましょう。
緑色が鮮やかな新品の畳は、直射日光や空気に触れる酸化作用によって、黄色、褐色と遷移していきますが、劣化ではないため安心してください。むしろ、い草本来の色の変化を見られるため、部屋の雰囲気が年数とともに変わっていく姿を楽しめます。
畳にはいくつものグレードや種類、サイズが存在するため、目的にあった物を選べます。価格はそれらの要素によって変動しますが、下記のような要素によっても価格が変わるので注意しましょう。
・畳→畳への張替え or フローリング→畳への張替え
・経年劣化による新調
・部屋の大きさ
畳から畳へ張替える場合は比較的スムーズに作業が進みますが、フローリングから畳へ張替える際は、床の厚みが合わず工事が必要になる可能性があります。
畳は適切にメンテナンスすることで、必要最低限の部分だけ修理して再利用できます。しかし、あまりにも年数が経過して傷みがひどい場合は、新調する必要があります。
また、部屋の大きさによって必要な畳の枚数が変わることにも注意しましょう。
下記の表はメンテナンス費用の参考例をまとめたものです。
畳の裏返し | 一畳あたり税込 1,980円 |
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畳の表替え | 一畳あたり税込 2,750円 |
畳のメンテナンスには、裏返しと表替えがあります。裏返しとは、名前の通り畳を裏返すことです。表面の退色や傷みが進行しても、裏返して新品同様の裏面を使用できます。裏面も退色が進み、傷んできたら、芯の部分である畳床から、畳表(たたみおもて)という、表面の部分だけを剥がして再利用するのです。
この作業を表替えといい、裏返しとあわせて畳業者の専門知識と技術が必要になるメンテナンス作業です。これらのメンテナンス費用も、畳の大きさやグレードによって変わるため注意が必要です。
畳を掃除するときは、箒や乾いた雑巾を使って、畳の目に沿って行うのがポイントです。
力を強く込める、畳の目に沿わずに掃除をするといった、誤った掃除方法を続けると、畳表が傷付き、その傷んだ部分にゴミが入り込んでしまいます。箒がない場合は、掃除機で優しく掃除をしましょう。また掃除に重宝する重曹は、畳にダメージを与えるため、使用は控えた方がいいです。
濡れ雑巾を使用する際は、畳に過剰な水分を吸い込ませないよう、固く絞ることを徹底してください。あわせて、窓を開けて風通しを良くすることで、カビの発生を防げます。夏場の畳は湿気を多く吸収するため、こまめな換気、エアコンによる除湿を意識しましょう。
もしも、飲み物をこぼしてしまった場合は、乾いた布やキッチンペーパーを使って水分を吸収させます。醤油やジュースのような、色の濃いものをこぼした際は、畳に色が付いてしまうため、下記の方法で染み抜きをしましょう。
①キッチンペーパーや乾いた布で優しく水分を拭き取る
②汚れた箇所に塩を振り、畳の目に沿って歯ブラシで優しく擦る
③濡れたタオル・雑巾で優しく畳を吹き、乾拭きをする
上記の対処法は、畳の種類や素材によっては効果がない可能性があります。汚れが落ちない場合は、畳業者に相談するのがおすすめです。
月1回、箒(掃除機)と雑巾を使って拭き掃除をすることで、ダニ、ホコリといったアレルゲンの繁殖リスクを低下させられます。その際、畳を強く擦ると劣化を早めるため、優しく掃除するように心がけると畳が長持ちします。
また、天気の良い日は窓を開ける、夏は除湿剤を使用するといった、カビ対策も怠らないようにしましょう。
畳を新調してから2〜5年経つと、裏返し作業が発生します。同様に裏面でも同じくらいの年数が経過したら表替えのタイミングです。
畳のグレードやお手入れの状況で表替えのタイミングは変わりますが、退色と傷みが酷い場合や虫やカビの繁殖が続く場合は業者と相談し、表替えをするか、後述の張替え作業をするか検討しましょう。
裏返し、表替えを繰り返すことで、畳は長い間再利用できます。しかし、新調してから10年〜15年ほど経つと畳床の劣化が進み、畳表を張替えるだけでは修理できない時が訪れます。
その時が畳を完全に新調する、張替えのタイミングです。畳の退色や傷みは裏返しと表替えで対応できますが、クッション性がなくなった場合は、畳床が劣化している証拠であるため、業者に張替えの相談をしましょう。
畳にはさまざまな大きさと種類があり、自宅状況によって適したものが違うため、訪問見積もりに対応している業者をおすすめします。webや電話越しで畳の説明を受けても、業者と自分との間で認識がズレてしまやすいためです。
都合の良い訪問時間を調整する必要がありますが、実際に目で見て見積もりを行ってもらえば、はっきりとした金額がわかり、結果的にスムーズです。プロの業者が最適な畳選びのサポートをしてくれるため、ぜひ利用しましょう。
また、張替えて不要になった古い畳の引き取りや、畳を敷く部屋の家具移動サービスが付いている業者を選ぶと、自ら畳回収の手続きや重作業をしなくて済みます。
畳は吸湿性、防音性、防振性、クッション性、リラックス効果といった、さまざまなメリットを有する床材です。自然由来の素材で作られているため、年齢関係なく安心して寝転がることができ、小さな子どものお昼寝スペースとしても最適です。
表替え、裏返しといった数年に1度のメンテナンスは難しく、業者に頼むことになりますが、拭き掃除や換気といった日々のお手入れは簡単で、畳が長持ちしやすくなるため、ぜひ畳の購入を検討してみてください。