2022-06-27
畳を交換する際や、畳を上げて掃除したい時に、今敷いている畳をすべて取り外すのは避けましょう。畳の敷き方にはルールがあり、和室の広さによって敷き方が違います。
畳は間違った方法で敷いてしまうと傷んでしまうことがあり、寿命を縮めることにつながってしまいます。
そこで、まずは畳の敷き方のルールと種類、そして和室の広さ別の正しい敷き方をご紹介します。事前に確認してから畳を取り外すようにしましょう。
「畳の合わせる目が十字にならない」のが、畳の敷き方のルールです。
畳の合わせ目が十字にならない敷き方は江戸時代より縁起がよいとされていたようで、現在でも名残が残っています。
そして、畳の合わせ目が十字になっていない敷き方を祝儀敷き、畳の合わせ目が十字になっている敷き方を不祝儀敷きと呼びます。
昔は畳が非常に大切なものであり、普段は重ねて置いていて、祝儀や不祝儀があると状況に合わせて畳の敷き方を変えていたといわれています。
6畳の和室の場合、祝儀敷きになっているのが一般的です。
自宅の和室が6畳の場合にチェックしてみてください。恐らく、合わせ目が十字になっていないはずです。畳用語では回り敷とも呼ばれています。
祝儀敷きは婚礼などのお祝いの席で採用されていた敷き方です。
不祝儀式は葬儀などの縁起の悪い時に採用されていた敷き方です。つまり、葬儀や弔事などの際は不祝儀敷きに畳を変化させていました。現在では寺や神社、仏閣で採用されています。
旅館の大広間でも不祝儀敷きが採用されています。旅館で採用されている理由ですが、大勢の旅館利用者が同じ方向を向いて座るためです。
不祝儀敷きにて畳が同じ方向で敷かれていれば作業がしやすく、しかも畳は傷みづらく、メンテナンスがしやすい理由から旅館でも採用されています。
同様の理由から、公民館や小学校などでも不祝儀敷きにて畳を敷いています。
畳の敷き方のルールはほかにも存在します。細かいルールになってしまいますが、しっかりと把握しておきましょう。
まず、部屋の出入り口と隣接する畳は、出入り口に対して畳が平行になるように敷くルールがあります。
入り口を割るように畳を敷いてしまうと、部屋に足を入れた時に畳の目に逆らってしまい、足の滑りが悪くなって畳がどんどん消耗してしまいます。
しかし、出入り口に対して畳を平行に設置すると、畳の目と足を運ぶ方向が同じになるため、足の運びがスムーズになり畳が長持ちします。出入り口に畳を敷く際は、平行を意識しましょう。
和室のなかで掛け軸や花が設置されているスペースを床の間と呼びます。
床の間がある和室の場合は、床の間と平行に畳を敷いたあとに他の畳を敷いていくようにしましょう。
床の間を割るように畳を敷いてしまうと、来客者に畳のつなぎ目に座らせてしまうためです。畳の目が合っておらず、来客にとっては心地が悪い場所になってしまいます。
戸建て住宅の場合では床の間があるところも多く、床の間と平行に畳を敷くようにしましょう。畳の縁が床の間に対して直角に入る敷き方は「床刺し」といって忌避されます。
和室が4畳半などの場合、半畳の畳を使用しなければなりません。
そして、半畳の位置が重要になります。半畳を設置する場所は、鬼門を避ける必要があります。鬼門は北東の位置にあたり、鬼が出入りする鬼の通り道に該当するため避けるのです。
方角的に不吉な鬼門半畳は避けましょう。これから新築戸建てを建てる場合は、鬼門を考慮しておくと安心です。
鬼門半畳を避けて、和室の中心に敷いた半畳を残りの4畳で囲んで渦のような形を取る方法もありますが、左回りに畳を敷くと「切腹の間」になってしまいます。
切腹の間は、武士が切腹をする時に採用されていた畳の敷き方で、切腹をした後に中心の半畳を取り換えるとスムーズに後処理ができる理由で採用されていました。
現在では縁起の悪い敷き方であると避けられています。
この「切腹の間」とは逆に、半畳を中心に右回りになるように畳を敷くと、茶室の敷き方となります。最近では気にしない人も多いかもしれませんが、見る人が見ればすぐにわかります。縁起の悪い敷き方は避け、必ず右回りに畳を配置しましょう。
和室の広さ別に畳の敷き方を紹介します。和室の広さに一致したものをチェックしてみてください。
3畳の場合、部屋の奥側に畳を横向きで敷きます。そして、部屋の手前側に縦向きで畳を2枚敷けば祝儀敷きになります。
すべて横向きで畳を配置してしまうと、畳の向きは揃いますが不祝儀敷きとなってしまうので注意しましょう。
4畳半の場合、部屋の奥側に畳を横向きで敷いてください。そして、左側に畳を1枚縦に敷いて、隣に横向きで2枚敷くと祝儀敷きになります。
手前の畳3枚を縦向きに設置すると、不祝儀敷きとなります。
6畳の場合、部屋の奥側に畳を横向きで2枚設置しなければなりません。左右に1枚ずつ縦向きの畳を設置します。
最後に横向きで2枚上下に敷くと祝儀敷き、そして6枚の畳をすべて横向きで設置すると不祝儀敷きになります。
8畳の場合、まず6畳の祝儀敷きと同じ敷き方をします。手前に横向きで畳を2枚敷けば完成です。不祝儀敷きにする場合は、8枚の畳を縦向きで配置しましょう。
10畳の場合、今度は8畳と同じ敷き方をします。左側に詰めるようにして配置してください。10畳の場合は、右側に縦で2枚畳を敷かなければならないためです。
祝儀敷きにする場合は、右側を開けて畳が2枚入るスペースを作りましょう。10枚の畳をすべて縦に敷くと不祝儀敷きになります。
12畳の場合、10畳の祝儀敷きにしましょう。しかし、今度は右側に詰めるように配置します。左側の空いたスペースに、畳2枚を縦に敷き詰めるためです。
12畳で不祝儀敷きする場合は、部屋の奥側に横向きで畳を3枚敷きます。縦に6枚畳を敷きます。最後に手前側に横向きで3枚の畳を敷くと、不祝儀敷きの完成です。
せっかく畳をキレイに敷き直したら、それをキレイに保ちたいですよね。
最後に、畳をキレイに保つ方法を確認してみてください。
畳をこまめに掃除しておくと、畳の異変に気づきやすくなるうえ、ホコリの蓄積を未然に防ぐことができます。
さらに、畳の目に沿って掃除すると、畳を傷付けずに掃除ができるため、こまめに畳の目に沿って掃除をしましょう。
まずは、掃除機やほうきを使って、表面のホコリを取り除きます。そして、固く絞った濡れ雑巾を使って汚れを拭き取り、すぐに乾拭きして水気を取り除きます。
畳は水に弱く、水を吸ってしまうと変色してしまいます。最悪のケースとしてカビが発生してしまう可能性もあります。
雑巾をかけたら、窓を開けて換気してわずかに残っている水分を取り除きましょう。
畳には正しく敷くためのルールは多く存在しますが、合わせ目を十字にせず、不吉な敷き方を避けていれば大きな問題はありません。
しかし、4畳半などの「半畳」の部屋の場合は、ルールは複雑であるため、注意が必要です。
また、切腹の間などの少々ややこしいルールもあるため、新しく畳を敷く際は、確認しながら配置するのがおすすめです。旅館などであえて不祝儀敷きを採用する場合も、間違えないように畳を敷いてください。