2023-03-13
夏場になると和室が暑いので対策したい、障子がある部屋でもできるだけ節約しながら夏を快適に過ごしたい、とお考えではないでしょうか。
こういったお悩みの方は、障子に対して暑さ対策を施すとよいでしょう。この記事では、障子の暑さ対策について具体的に解説しています。ぜひ参考にして、暑い時期を乗り越えましょう。
和室の中が暑くなってしまう原因は、さまざまな要素がありますが、最も大きな原因は窓から差し込む直射日光と外気の流入です。
屋根や外壁などからも熱の流入はありますが、およそ50%以上の熱は窓が原因です。したがって、部屋の暑さ対策をするうえでは、窓や障子への暑さ対策を行うことが大切です。
和室の断熱効果を高める方法はいくつかありますが、まずは障子の断熱効果を高めることで、外気や直射日光による室温の上昇を軽減できます。ここからは、具体的な対策を解説していきます。
和紙を用いた障子は、木枠と和紙の組み合わせにより、湿気を調整し空気の流れをよくする通気性や、外光を優しく取り込む採光性があります。この特性により、部屋の中を快適に保ちながら、柔らかい光で明るく照らし、心地よい空気にしてくれます。
また、外からの視線を遮りつつ、湿気をこもらせることもありません。ただし、障子紙の断熱性はとても高いというわけではなく、カーテンよりも光が入りやすいという欠点があります。
そこで、現在は障子の欠点を克服するために、断熱障子シートや遮光障子が販売されています。断熱障子シートは、障子用に加工された発泡ポリウレタンでできており、通常の障子よりも断熱性が高く、破れにくく、紫外線カット効果もあります。
部屋の見栄えを損なわない、和紙とそっくりの質感の断熱シートも販売されています。断熱効果を高めたい場合は、こういった断熱障子シートの使用をおすすめします。
障子の暑さ対策のひとつとして、断熱リフォームが挙げられます。暑さを和らげるために、断熱性の高いサッシの設置や、床下・屋上・壁面のリフォームを行います。
ただし、リフォーム内容や工法によって、コストや工期が大きく異なるため、自分に合ったリフォーム方法を選ぶ必要があります。窓の断熱リフォームには、カバー工法と、はつり工法があります。
カバー工法は既存のサッシに新しいサッシを被せるため、短い工期で済みますが、窓が小さくなってしまうことがあります。はつり工法は壁を壊すなど、大掛かりな工事が必要ですが、窓が小さくなることがなく、見た目も美しいです。
工事前に予想図を確認したり、見積もりを出してもらったりして、自分に合った方法を選択しましょう。また、内窓を設置するのではなく、窓自体を断熱性の高いものに変えることも効果があります。
太鼓張りとは、組子の両側に紙や板を貼り、間に空気の層を作る方法です。障子紙を太鼓張りにすることで、断熱効果がアップします。
障子紙は通常、組子の片面に張られますが、太鼓張りでは両面に張られます。この方法によって、和紙と和紙の間に空気の層ができるため、断熱性が高まります。
美しく並べられた桟や組子が隠れてしまうため、見た目には影響がありますが、内窓の設置や断熱リフォームが難しい場合には、こういった方法で手軽に障子の断熱性を上げることができます。
雪見障子と断熱ガラスを使用することで、室内の冷たい温度を保てます。雪見障子は、下半分にガラスを取り付けた障子で、小障子で外部からの視線を遮断することもできます。
また、断熱ガラスは通常のガラスに比べて、約4倍もの断熱効果が期待できるとされています。断熱ガラスの使用で、室内の冷気が温まってしまうのを軽減できるでしょう。
雪見障子に断熱ガラスを使用すれば、室温の保持や調光の役割を果たし、室内から外の景色を楽しむことができます。
内窓を設置して窓を2重にすることは、大きなメリットがあるでしょう。暑さ対策をするうえでは、障子への対策も重要ですが、窓への対策を行うとさらに大きな断熱効果が得られます。
窓を2重にすることで、内側の窓と外側の窓の間に、空気の層が発生します。この空気の層によって、外気の影響で室温が上昇するのを軽減できます。
さらに、2重にすることによって気密性が高まり、窓の隙間から熱気が流入したり、室内の冷気が外へ逃げたりすることを防げます。
内窓を設置したり、断熱リフォームを行ったりといった対策は、高い効果が見込めますが手間も費用もかかります。
ここでは、大きな手間をかけずに、すぐにできる暑さ対策をご紹介します。障子や窓への対策とあわせて行うと、よりいっそう効果を発揮するでしょう。
打ち水は江戸時代から行われている、涼をとるための伝統的手法です。すでに熱くなった路面や、これから熱くなる路面に対して、水を撒くことで地面の温度が下がります。
水は蒸発するときに、周囲の熱を吸収してから蒸発します。この作用によって周囲の熱を奪ってくれるため、涼しく感じられます。
打ち水の効果は、日本気象協会の実験でも実証されています。打ち水後の地面の表面温度は、水を撒いていない部分に比べて20度ほど下がり、効果は1時間ほど続いたとされています。
暑さ対策を行ううえでは、直射日光の遮断がとても大切です。理由は、直射日光と外気の影響による温度上昇が熱全体の50%を占めているからです。
直射日光を防ぐアイテムとしては、すだれの使用がおすすめです。ホームセンターで簡単に入手でき、吊るすだけで使用できます。
すだれを使用すれば、室内への直射日光の差し込みを遮断できるうえ、風通しも確保できます。さらに、すだれに水をかけることで、すだれ自体の温度上昇を防ぎ、冷たい空気を取り入れられます。
植物のツルを家の外壁やネットに這わせる、グリーンカーテンも対策として有効でしょう。植物の葉が直射日光を遮ることによって、室温の上昇を防げます。
環境省のホームページによると、グリーンカーテンは直射日光の熱エネルギーを約80%カットするとされており、すだれやガラスよりも優れた効果を持っているとしています。
さらに、植物は葉から水分を放出しています。打ち水と同じように、水分が蒸発する際に周囲の熱を奪うため、あたりの温度を下げる効果があります。この空気を取り込むことで、涼しく感じられるでしょう。
直射日光を遮断するサンシェードの設置も効果的でしょう。ホームセンターで手軽に手に入り、吊るすだけで効果を発揮します。さまざまな種類やデザインのものがあるため、お部屋の雰囲気にあわせて選びましょう。
風鈴には直射日光を遮るような効果はありませんが、風鈴の音を聞くことでアルファ波が発生し、リラックス効果を得られるとされています。
さらに、風鈴が鳴ると風の流れを聴覚からも感じられるため、音を聞くと条件反射的に涼しいと感じる方もいるようです。
いっぽう、風鈴の音をうるさいと感じる方もいるため、周囲に配慮しながら使用するとよいでしょう。
この記事では、夏を涼しく過ごすために障子にできる暑さ対策や、障子以外の部分で手軽にできる対策についてもご紹介しました。
まずは費用をかけずに、グリーンカーテンやすだれといった手軽にできる部分からはじめ、さらに断熱効果を求める場合は障子の貼り替えや、断熱リフォームを行うとよいでしょう。
畳や障子の張り替えや断熱リフォームを行う場合は、ゆたか畳の利用を検討しましょう。ゆたか畳では、さまざまな種類の畳を常時30種類以上、障子の張替えはベテランの職人がひとつひとつ丁寧に仕上げます。