2023-06-19
近年、生活様式の変化から畳が使用された和室が減少傾向にあり、フローリングのお部屋が多くなってきています。
しかし、実は畳は赤ちゃんのいる家庭と相性がよく、子育てに励む家族にとって快適に過ごせる空間です。畳の機能性を理解すれば、赤ちゃんと相性がよいことがわかるでしょう。
本記事では、赤ちゃんと畳の相性がよい理由、大人にとっても快適な理由や畳で快適に過ごすための対策について、詳しくお伝えします。
畳には、赤ちゃんを育てる家庭にとってうれしい機能と効果が備わっています。ここでは、赤ちゃんと畳の相性がよい理由を4つご紹介します。
・吸湿性・放湿性に優れているため
・断熱性・保温性に優れているため
・クッション性に優れているため
・防音性に優れているため
それぞれついて、詳しくみていきましょう。
畳には、吸湿性・放湿性が高いという特徴があります。畳に使われているい草が、湿度が高いときは空気中の湿気を吸い取り、乾燥しているときは湿気を放湿する機能を持つからです。
畳を敷くことで、加湿・除湿をする手間が省かれ、過ごしやすい湿度に保ってくれます。とくに赤ちゃんは大人よりも汗かきな体質なので、吸湿性に優れた畳では快適さを保ったまま過ごせるでしょう。
まだ「暑い」や「寒い」と自分からいうことができない赤ちゃんにとって、自然と湿度の管理ができる和室は心地よいものですし、お父さんお母さんも安心して一緒に過ごせる空間になるのです。
また、畳は吸湿性・放湿性に優れているだけでなく、断熱性・保温性も高いという特徴があります。そのため、フローリングに比べて夏はひんやり涼しく、冬はあたたかくお部屋を保てます。
畳に使用されているい草に加えて、畳の中身を構成するスポンジ部分には、たくさんの空気を含んでいます。空気は熱を伝えにくく暑さを遮断する働きと、冷たい空気を遮る働きがあります。
そのため、畳は断熱性・保温性も優れており、室内の温度を適温に保つ役目も果たしてくれるのです。
畳は室内の気温や湿度を調整するだけでなく、クッション性にも優れています。畳にクッション性があるのは、表面のい草の肌触りのよさに加えて、内部構造が鍵を握っているのです。
畳の中には稲藁が使用されています。稲藁を大量に積み重ね、40cmほどになったかたまりを5cmになるまで圧縮したものを縫い上げてできたものを、畳の内部に使用しているのです。稲藁を圧縮したものはスポンジの構造に近いため、畳はクッション性に優れています。
畳のクッション性に優れているのは、内部構造がスポンジのようになっているからだとわかりました。この構造は衝撃と音を吸収するため、防音性にも優れた機能を発揮します。
ハイハイ歩きや足をばたつかせたときに、音を気にする環境だと赤ちゃんに思い切り遊ばせたくても、近所迷惑にならないかと気を使ってしまうものです。畳ならフローリングに比べて防音性があり、騒音が伝わりにくいので安心です。
また、防音はご近所だけでなく、お昼寝をしている赤ちゃんの周りを歩く際にも足音を気にしなくて済むので、子育てに励むお父さんお母さんにとってもメリットです。
畳の4つの機能から、畳と赤ちゃんの相性がよい理由がわかりました。さらに、赤ちゃんへのメリットだけでなく、一緒に過ごす親にとっても畳があるとよい理由があります。ここでは、親にとっても畳があるとよい理由について、3つのポイントをご紹介します。
畳の表面に使われているい草は、肌触りがよく触れていて心地よさを感じます。また、弾力性にも優れているのでほどよい硬さと柔らかさがあります。畳ならではの感触と弾力性によって、立っている時の足への負担が減るのです。
赤ちゃんをあやすときなど、立った状態で過ごす時間が多い子育てにとって、肉体的な疲労はつきものです。畳の弾力性によって体への負担が減ると、疲労具合もずいぶんと変わるのではないでしょうか。
い草が持つ独特な香りには、4つの芳香成分があり、リラックス効果を発揮する成分があります。
芳香成分のうち約20%を占めるフィトンチッドは、森林の香りの元となる成分のため、森林浴と同様の効果が期待できるとされています。そのため、い草にもリラックス効果があるのです。
畳の吸湿性、クッション性、防音性から、赤ちゃんが畳に直接ごろ寝できるのは、想像に容易いことです。
上記の機能性に加えて、実は畳には有害物質を吸着する機能も備わっているため、衛生面でも安心で赤ちゃんがごろ寝をしても、安心して見守ることができます。
赤ちゃんと畳の相性がいいのはわかったものの、畳のお手入れや汚れたときはどうしたらいいのかなど、懸念点があるのも事実です。
ここでは、赤ちゃんが畳で快適に過ごせるためのポイントとして、気をつけておくべきことを4つお伝えします。
畳そのものが原因でアレルギー反応が出る可能性は低いですが、畳に溜まったホコリやハウスダストによって、アレルギーが引き起こされる可能性があります。
そのため、赤ちゃんが快適に畳で過ごすためには、アレルギー予防の対策を打つ必要があります。対策として挙げられるのは、下記の5つです。
・こまめな掃除を心がける:ハウスダストやダニが、アレルギーの原因になりやすいため
・換気・除湿する:畳に湿気がこもってしまうと、ダニやカビが発生するリスクが高まるため
・お酢で殺菌する:水で薄めたお酢を雑巾に染み込ませて、畳の目に沿って雑巾掛けをする
・水分はしっかりと拭き取る:畳に残った水分から、カビが生えてしまうことがあるため
・布団や座布団を敷きっ放しにしない:湿気がこもりやすく、カビやダニが生えやすくなるため
アレルギーの原因となる、ハウスダスト・カビ・ダニ等の発生を防ぐためにも、アレルギー対策は必須です。
赤ちゃんと暮らすと、予期せぬ場面で部屋が汚れてしまうことがあります。汚れの例として、下記の3つの汚れへの対策が事前にできているといいでしょう。
・畳の上でオムツ交換をしない
・畳の上で食べ物飲み物を与えない
・いたずらされそうな物を近くに置かない
汚れの原因になるものを事前におかないことで、汚れへの対策を施します。
事前に汚れ対策することも大事ですが、汚れは予期せぬときに発生するものでもあります。そのため、汚れたときには、すぐに掃除をするように心がけましょう。
時間が経ってからのお掃除は、シミになってしまうおそれがあります。お手入れ方法に迷わないように、事前にチェックしておきましょう。
掃除方法は飲み物や吐き戻し、インクやクレヨンの汚れ、おしっこなど、汚れの種類ごとに異なります。
畳には放湿性・保湿性があるので、ある程度の湿度調整は自然に行えるのがメリットです。しかし、内部に溜まった水分をうまく放出できなければ、カビやダニの発生リスクを高めてしまうおそれがあるのです。
湿気を溜め込まないために、定期的に天日干しを行いましょう。具体的には春と秋の年に2回、湿度が低くカラッと晴れた天気のいい日に天日干しをします。風通しのいい場所で4〜5時間を目安に、畳床(畳の裏側)を日光に向けた状態にします。
畳には、吸湿・放湿性、保温・遮熱性、クッション性に優れている点から、和室では赤ちゃんにとって快適に過ごしやすい環境が整います。畳の機能性を考えると、畳と赤ちゃんの相性がいい理由が見えてきました。
また畳は、赤ちゃんが快適に過ごせる空間であるとともに、お父さんお母さんにとってもメリットがあります。赤ちゃんと安心して一緒にごろ寝ができる空間は、子育て期間をより有意義で幸せな時間として過ごせます。
お手入れ方法に不安がある方も、汚れ防止対策や汚れた際のお掃除方法を事前に把握しておけば、畳導入後も安心して過ごせます。赤ちゃんが畳で快適に過ごせるよう、対策も忘れないでおきましょう。