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和室にかかせない「畳」とは?い草の効果も解説!

2024-06-13


和室に欠かせないものといえば畳です。日本人にとって馴染み深い畳ですが、その成り立ちや構造、歴史についてご存じでしょうか。

この記事では、畳の構造といった概要に加えて、畳の文化・歴史的な背景、畳の敷き方までわかりやすく解説します。畳の主な材料となるい草がもたらす効果も解説するため、ぜひご覧ください。

和室を構成する畳とは?

日本固有の敷物である畳は、床としての基本的な役割に加え、座面や寝具としても使用されます。い草を素材とし、自然な質感と香りが特徴で、寝転んだり、家族が集まったり、趣味の時間を過ごしたりする場として理想的です。

畳は家庭における憩いの空間を提供し、心地よい生活の一部として長年にわたり愛されています。

畳の文化と歴史

畳の歴史は古く、奈良時代に書かれた「古事記」で初めて畳という名前が登場しました。とはいえ、当時の畳は現在のものと異なる構成をしていたといわれており、私たちに馴染みのある作りになったのは平安時代のことです。

ここからは、畳の文化と歴史について時代ごとに解説します。それぞれの時代でどのような変化があったのか、順番に見ていきましょう。

平安時代

平安時代、畳は現在とは異なる形で使用されていました。平安時代における畳は主に寝具として利用され、部屋の一角に限定して敷かれることが一般的であり、こうした様子は絵巻物などにも描かれています。

加えて、畳は使用する人の社会的地位に応じて、畳の厚さや周囲の縁のデザインが異なる点も特徴です。つまり、畳はすべての人々が平等に使えるわけではなく、身分を象徴するアイテムにもなっていたのです。

このように、畳は平安時代の社会構造を反映する、重要な文化的要素でもありました。

鎌倉時代

鎌倉時代に入ると、畳が部屋全体に敷かれるスタイルが始まりました。とくに銀閣寺の書院造りが変化を加速させ、畳は高級な生活を象徴するアイテムとして認識されるようになりました。

平安時代に引き続き、畳を使用できたのは貴族に限られ、畳の縁には身分を示す細かな模様が施されていました。そのため、畳の縁を踏む行為は厳禁とされており、現代でもこの慣習は残っています。

安土桃山

安土桃山時代に入ると、茶道の発展とともに畳が庶民の間にも普及し始めました。安土桃山時代における畳の特徴は、茶室の炉の配置に応じて畳の敷き方が工夫された点にあります。

畳は単なる床材から、茶の湯文化を象徴する装飾的な要素へと変化し、使い方にも創意が凝らされました。

江戸時代

江戸時代に入ると、畳が一般庶民にも広く普及し始めました。普及が進んだ主な理由は、千利休による茶道文化の広がりです。畳は茶室で使用され、茶室では身分の高低に関わらず人々が平等に交流する場となりました。

また、江戸時代には畳の使用がさらに進み、畳屋や畳職人といった専門職が登場し、い草の栽培も本格化しました。

昭和

昭和時代の高度経済成長期には、生活スタイルが徐々に西洋化し、椅子やソファを使用する習慣が増えました。しかし、住宅には和室が必ず設けられ、畳が敷かれるのが一般的でした。

和室は日本の伝統的な要素を保ちつつ、新しい生活様式を取り入れる場として重宝されたためです。畳は変わりゆく生活環境のなかでも、一定の価値を保ち続けていたのです。

現代の畳

現代では、フローリングの普及とともに畳が敷かれる和室の数は減少しています。畳や障子の維持費がかさむため、和室の設置を避ける家庭が増えました。

そこで、最近は生活スタイルに合わせた新しい形の畳が登場しています。維持が容易な化学素材を使用した畳や、手軽に設置できる置き畳が普及した結果、畳の人気が再び高まりつつあります。

畳の構造

畳は、以下3つの構造に分かれています。

● 畳床
● 畳表
● 畳縁

それぞれ畳のどの部分なのか、どのような役割があるのかを解説します。

畳床

畳床は畳の内部を占める部分で、適度な硬さと柔軟性が特徴です。畳が湿度の調整機能をはじめ、防音性や断熱性にも秀でているのは、この畳床の効果でもあります。

伝統的にはわらを密に締め付けて作られた本床が使用されていましたが、近年ではわらを用いず、新しい材料で作られたものも一般的になっています。こうした畳床は従来のものに比べて軽く、メンテナンスが容易という特徴を持ちます。

畳表

畳表は、畳の表面に使用される部分で、直接足裏に触れます。畳表はい草の茎を織り込んで作られ、織り目は「畳の目」と呼ばれます。畳の目は約1cm間隔で配置されており、畳表の質感や耐久性に影響を与えています。

畳縁

畳縁は、畳の長辺に沿って取り付けられた布の帯です。縁には「柄縁」と「無地縁」の2種類があり、畳に装飾的な要素を加えています。

かつては縁なしの畳が質素とされましたが、現代ではシンプルな外観が多くの人々に評価されており、好んで選ばれるようになっています。畳縁は畳の美観を高めるだけでなく、畳自体の耐久性にも役立っている部分です。

畳の原料となるい草の生産と畳表になるまで

畳の原料となるのは「い草」という植物で、大部分が熊本県で栽培されています。い草の生産は独特で、年間を通じて数段階にわたる栽培方法が取り入れられています。

最初に、い草の苗は畑である苗床に植えられます。8月には苗を掘り起こし、水田に移植して育成するのが特徴です。その後、11月下旬に再び掘り出し、本田で栽培する準備として株分けや根切りなどの調整作業を行います。

本田に植えられたい草は、翌年の6月下旬から7月中旬にかけて収穫されます。刈り取りは気温が低い早朝や夕方に行われ、鮮度を保つことが重要です。

収穫後のい草は、特有の色や香り、光沢を引き出すために泥染めされます。泥染めには、い草の表面に天然の粘土を含んだ染料を施すことで、い草を均一に乾燥させる効果もあるのです。

泥染めされたい草は乾燥後、長さに応じて選別され、農家によって一年かけて畳表に織り上げられます。織り上げられた畳表は、一枚ずつ丁寧に検査され、傷や不備がないかを確認します。検査に合格した畳表は、品質に応じて分類され、ようやく日本全国に出荷される準備が整うのです。

畳表は市場や産地問屋を通じて畳店に届けられ、畳職人が畳床に張り、畳縁を縫い付けることで、畳が生まれます。い草から畳が完成するまでには、多くの手間と時間がかかり、農家から職人まで多くの専門技術が必要です。

い草が持つ効果とは?

い草には、以下5つの効果があります。

● 湿度の調整
● 有害物質の除去と消臭効果
● リラックス効果
● 適度な弾力性
● 抗菌効果

それぞれの効果について詳しく解説します。

湿度の調整

い草は、自然な素材として優れた湿度の調節機能を持っています。い草はスポンジのように水分を吸収し放出するため、部屋の湿度を適度に保つことが可能です。室内の湿度が高くなるとい草は余分な水分を吸収し、逆に空気が乾燥している場合は、保持していた水分を放出します。

たとえば、6畳の場合、最大で約1.8リットルの水分を蓄える能力があり、綿素材の約2.5倍に相当します。さらに雨天時には、い草を敷いた部屋の湿度上昇率がフローリングの部屋に比べて低くなることも明らかになりました。

このような特性から、い草は日本の高温多湿な気候に適した素材であり、エネルギー効率の高い省エネ材料としても評価されています。

有害物質の除去と消臭効果

い草は部屋の空気中に漂う有害物質を効率的に吸着し、空気を浄化する特性があります。ガスコンロや石油ストーブから発生する二酸化窒素を最大98%、シックハウス症候群の一因となるホルムアルデヒドを最大78%減少させることが確認されています。

さらに、い草は日常生活で避けがたいさまざま悪臭に対しても強力な消臭効果を発揮します。汗の臭いや加齢臭、ペットやタバコの臭いなど、生活臭の多くがアンモニアや酢酸といった物質によって引き起こされますが、い草はどちらも効果的に減少させることが可能です。

リラックス効果

い草が持つ特有の香りは、リラックス効果をもたらします。い草の香りには「フィトンチッド」と呼ばれる成分が含まれており、自然の森林にいるような心地よさを感じさせるため、アロマセラピーと類似した作用があります。「畳の部屋に入ると心が落ち着く」と感じるのは、フィトンチッドの効果によるものです。

さらに、い草の色彩もリラックス効果によい影響を与えています。新品の畳の鮮やかな黄緑色や日焼けによって変わる茶黄色は、安心感を与え、ストレスを和らげる効果があります。い草の色彩を見るだけで心を穏やかにし、リラックスした状態へと導いてくれるでしょう。

適度な弾力性

い草は、内部に多くの空気を含むことから自然に発生する適度な弾力性があります。弾力性により、フローリングの上での転倒時に比べて、怪我のリスクを減少させる効果を期待できるでしょう。

とくに畳は、わらを使った畳床とい草の表面層が相まって、優れた衝撃吸収性を湿原しています。畳は日常生活での小さな事故からも保護してくれるため、とくに発育期にある子どもたちにとって安全な環境を作り出す際に便利です。

さらに、畳が提供する弾力性は、子どもたちのバランス感覚の発達を助け、歩行や運動を養う効果もあります。転倒する可能性がある家族がいる場合、い草を用いた畳を導入すると転倒によるダメージを抑えられるため、おすすめです。

抗菌効果

い草には自然な抗菌作用があり、さまざまな有害な微生物に対して効果を発揮します。とくに、食中毒を引き起こす腸管出血性大腸菌O157やサルモネラ菌、黄色ブドウ球菌といった病原体に対して、い草は抗菌性を持つ ことが明らかになりました。

さらに、日常生活で問題となる足の臭いや水虫の原因菌に対しても、い草は高い抗菌効果を示します。このようにい草は、天然の抗菌特性により、健康と衛生面で多くのメリットをもたらすでしょう。

畳の敷き方は?

畳の敷き方には「祝儀敷き(しゅくぎじき)」と「不祝儀敷き(ふしゅくぎじき)」の2種類があります。ここからは、それぞれどのように異なるのかを解説します。

祝儀敷き(しゅくぎじき)

祝儀敷きとは、日本の伝統的な畳の敷き方で、畳の縁が十字に交差しないように配置する方法です。祝儀敷きは縁起がよいとされ、とくに祝い事や婚礼などの喜びの場で選ばれることが多いです。

江戸時代に始まった祝儀敷きの慣習は「枕敷き」とも呼ばれ、畳の合わせ目が目立たないように工夫されています。

多くの家庭や施設では一般的に祝儀敷きが用いられ、美しい配列が日本の室内装飾の一環としても評価されています。伝統的な祝儀敷きは、畳の魅力をさらに引き立て、空間を和やかに演出するでしょう。

不祝儀敷き(ふしゅくぎじき)

一方、不祝儀敷きは縁起の悪い場面で用いられ、畳の縁が十字になるよう同じ方向で並べる敷き方です。不祝儀敷きは、葬儀を行う寺院や仏閣で一般的に採用されるほか、旅館の大広間などでも見られます。

なお、不祝儀敷きが旅館で用いられる主な理由は、利用者が同じ向きに座ることが多いためです。畳が同じ方向に敷かれていると、畳の耐久性が増し、傷みにくくなります。

また、広い空間でも不祝儀敷きは行いやすく、メンテナンスも効率的にできるため、実用性から選ばれることもあります。不祝儀敷きにより、畳の均一な劣化を防ぎながら、長期間にわたり畳の美観と機能を維持することが可能です。

不祝儀敷きは、実用性に加えて、伝統的な文化の一環としても重要な役割を果たしています。

まとめ

畳は単なる床材ではなく、寝具としてや座面としても使用される多機能な存在です。また、い草を主材料とする畳は湿度調整や抗菌作用、消臭効果、リラックス効果、弾力性など、生活空間を快適に保つためのさまざまな効果があります。

時代を追うごとに使用方法や文化的な意味合いも変わってきた畳は、平安時代から現代に至るまで、日本の住文化を象徴するアイテムとして進化を遂げてきました。とくに、祝儀敷きと不祝儀敷きの畳の敷き方は、それぞれの場面で畳の美観と機能性をうまく引き出すための知恵ともいえるでしょう。

畳は歴史や文化的背景だけでなく、現代の住宅でも新しい形で受け継がれ、便利で快適な生活空間を提供するための工夫が続けられています。これからも畳は、日本の家庭で愛され続けることでしょう。

ゆたか畳では、ベテランの職人たちがお客様の畳を丁寧に美しく仕上げます。張り替えの場合、朝お預かりしたものを夜にお渡しすることも可能です。

また、お客様に安心価格でご利用いただくため、自社加工や広告費削減など、さまざまな工夫を取り入れています。お客様に適した解決策をご提案いたしますので、畳に関してお悩みでしたら、ゆたか畳へお気軽にご相談ください。

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