2024-06-28
障子は、日本伝統の和室に使われる建具であり、明かりを通すように大きな木枠に縦横に多くの細い桟をつけ、紙や和紙を貼ったものです。和室が少なくなり、障子のない家庭も多くなりました。しかし、ガラスよりも遮光性に優れ、カーテンよりも高い断熱性が期待できます。
また、木と和紙でできている障子は調湿効果も高く、湿気の多い日本において合理的な建具です。近年では、昭和レトロブームや海外での日本文化人気などにより、再び畳や襖、障子を使った和室に対する関心が高まっています。
この記事では、さまざまな障子の種類や枠のデザインを紹介するとともに、障子の貼り方や選び方などを説明します。障子に興味のある方や、リフォームを機に障子を取り入れていきたい方は、ぜひ参考にしてください。
障子には、さまざまな種類があります。枠の中の組子(釘を使用せず木材を組み合わせて精密な文様を編み出す建具の伝統的技法)のデザインにより分類され、主に以下8つの種類があります。
荒組障子とは、最もスタンダードで、誰でもみたことがある障子のデザインです。W900×H1800mmの場合は、横方向に4等分、縦方向に6等分して組子を施します。
横組庄司とは、荒組障子の縦の組子はそのままで、横の組子の間隔を半分にしたものです。荒組障子と同様に最もスタンダードなデザインの障子になります。
横繁障子とは、横組障子の横の組子を、さらに半分の間隔に狭めた障子になります。関東地方で多く使われているタイプの障子です。
竪組障子とは、荒組障子の横の組子はそのままで、縦の組子の間隔を半分にしたものです。
竪繁障子とは、竪組障子の縦の組子を、さらに半分の間隔に狭めた障子になります。
枡組障子とは、組子の縦と横が、正方形になるように組んだ障子のものです。モダンな雰囲気となるため、和室だけでなく洋室でも使用されるタイプの障子です。枠の色を変えることで、更におしゃれな雰囲気へと変化します。
吹き寄せ障子とは、組子の間隔を広い箇所と狭い箇所、交互に並べて組んだ障子です。さまざまなリズムで組み合わせることが可能であり、和モダンな雰囲気にぴったりの障子です。
変わり組み障子とは組子を縦や横だけでなく、斜めに組んだり、伝統文様をあしらったり、不規則に配置したりとデザイン性のある障子です。組子障子ともいわれます。
幾何学的な伝統文様をあしらった組子障子は、日本伝統の美しさを感じられます。和洋問わずさまざまな空間にマッチし、より一層印象的なものに変化させます。
障子は、枠内の組子のデザインだけでなく、障子紙の貼り方や機能性によってもさまざまな種類に分類されます。
水腰障子は、全面が障子であるタイプで、一般的に多くの和室で使用されているものです。
腰付障子とは、下部分に高さ約35cm〜70cmの腰板が貼られている障子のことです。腰板があることで、座っているときや寝ているときに目隠しになり、プライベート感が保たれます。
腰板が障子の半分程度の高さまであるものは「高腰障子」と呼ばれています。
額入り障子とは障子に額があり、そこにガラスをはめることで外の景色を楽しめる障子のことです。額の位置はさまざまであり、中央や障子部分と腰板との間にあるなど、多岐にわたります。
ガラスをはめるため「ガラス障子」とも呼ばれています。
猫間障子とは、障子の一部が猫が通り抜けられるように、上下や観音開きに動く扉になっている障子のことです。気密性を高めるため、ガラスがはめ込まれる形が多くなっています。
雪見障子とは、猫間障子の猫が通り抜けられる扉の部分に、ガラスがはめ込まれている障子のことです。室内からガラス部分を通して、外の雪景色を楽しめることから名前がつけられました。
ガラスがはめ込まれているため、額入り障子と似ていますが、扉の有無が異なります。
次に、障子紙について紹介します。障子紙もさまざま種類があり、どれを選択し、どのように組み合わせるかによっても、部屋の雰囲気は大きく変わります。
主に家庭で使用される障子紙には「手すき和紙」「機械すき和紙」「プラスチック障子紙」の3種類があります。それぞれの特徴とともに、メリット・デメリットを紹介します。
手すき和紙は「楮(こうぞ)」という植物を主原料に、職人が1枚1枚手作業で作る和紙です。量産はできないため、コストは高くなります。
ただし、和紙に使用されている「楮」の配合量により、調湿効果やフィルター効果は高まります。また、手すきならではの風合いは、なんとも言えない上質さを醸し出します。
機械すき和紙は、楮だけでなくパルプやマニラ麻などを主原料に、機械ですいた障子紙のことです。高価な楮の使用料を減らし、機械を使用するため、量産が可能で低価格で手に入ります。
主に「パルプ障子紙」と「レーヨン障子紙」の2種類があります。パルプ障子紙は、通気性や吸湿性に優れていますが、破れやすく紫外線で劣化するため、約1年で張り替えが必要です。
レーヨン障子紙は、レーヨンが40%以上配合されているもので、楮に似た性質をもち強度が高く、光沢感もあります。
近年では、和紙の代わりにプラスチックを使用したものも増えています。プラスチック障子紙は、見た目は和紙の風合いそのままに、塩化ビニール2枚のシートの間に和紙を挟み、コーティングした障子紙です。
汚れても拭き取ることが可能なため、お手入れが簡単であり、紫外線の影響を受けにくく、コーティングしているため、強度が高く破れにくいのが特徴です。ペットなどの引っかき傷にも強いです。
張り替え作業は、両面テープなどで簡単に貼り付けが可能なため、糊よりも簡単です。しかし、手すき和紙の風合いには及びませんし、結露が生じやすいというデメリットもあります。
機能性や使い勝手を重視する方には、プラスチック障子紙はおすすめです。
障子は、部屋の中でも広い面積を占めており、部屋の雰囲気を左右する重要なアイテムです。障子には、デザインや機能別にさまざまな種類があり、どのように選べばよいか悩む方も多いのではないでしょうか。
ここからは、生活スタイルに合わせて、どのように障子を選んでいけばよいか、そのポイントを解説します。
障子枠を選ぶ際は「サイズ」「部屋にある素材」「組子の配列」という、3つのポイントがあります。
障子枠を選ぶ際は「サイズ」選びがとても重要です。鴨居から敷居までの長さと、障子2枚分(または4枚分)の開口幅を測定し、それにぴったり収まるものを選びましょう。
次に「部屋にある素材」ですが、障子枠に使用する木には、ヒノキやスギなどさまざまな種類があります。障子枠を選ぶ際には、部屋に使用されている家具や建具との質感や色を合わせて、相性のよいものを選ぶようにしましょう。
最後に「組子の配列」ですが、障子枠を選ぶ際にはこれが1番難しい作業です。まずは、障子をどの場所にどんな目的で取り入れたいのかを明確にしましょう。
障子は、選ぶ障子紙によって異なりますが、張り替え作業が定期的にあります。デザイン性を高くするほど、おしゃれでモダンな部屋になりますが、組子の配列が細かくなるため、障子の張り替えに手間がかかります。
また、光の通し方や外からの見え方など腰板やガラスを入れる額の位置によっても、大きく変わるため、その部屋での過ごし方やメンテナンス作業量などを、具体的にイメージしながら選んでいきましょう。
障子枠を決めたら、障子紙を選んでいきましょう。選ぶ際には「素材」「デザイン」「金額」の3つのポイントをおさえつつ、選択することが大切です。
まずは「素材」ですが、それぞれの家庭において障子紙に求めることは異なります。子どもやペットがいる家庭では、破れにくさを重視したい方も多いです。強度で選ぶならば、プラスチック障子紙がおすすめです。
逆に、強度ではなく通気性や吸湿性、風合いを求めるならば、プラスチック障子紙ではなく和紙を選びましょう。
次に「デザイン」ですが、障子紙もさまざまデザインのものが増えています。部屋のデザインに合わせて、桜などの和柄などを合わせるのも素敵です。和紙もデザインは豊富ですが、個性的なデザインを求める方には、自由度の高いプラスチック障子紙がおすすめです。
最後に「金額」ですが、障子紙は「普通紙」「タフトップ」「ワーロンシート」の順で高価になります。また、障子紙の種類によっても変動します。選択する障子紙の強度と金額、どの程度で張り替えが必要なのかを検討し、選択する必要があります。
「素材」「デザイン」「金額」の3つのポイントのなかで、自分なりに優先順位を決めることで障子紙は選びやすくなります。
和室を見ると、なぜかほっとするのは日本人だからでしょう。障子は、思い出にいつも懐かしく、優しい光を届けてくれる日本伝統の建具です。
この記事では、障子の種類や選ぶ際のポイントを中心に紹介しました。障子枠や障子紙には、さまざまな種類があり、その一つひとつを吟味し選択することで、デザインだけでなく機能性でも、自分だけの癒やしの空間にすることが可能です。
しかし、実際リフォームなど障子をどのように取り入れたら効果的なのか、障子の張り替えが難しいなど、悩む方も多いはずです。
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